受験アドバイザーのしろくまです。
お子さんが新小6になられる方は、いよいよ志望校をどうしようかと悩まれる頃かと思います。
もしお子さんが強い意志で御三家を目指しているとか、
進学校で切磋琢磨し、将来は東大、ないしは海外の大学へ…
といった理想を持っているのであれば、慶應は絶対やめた方がいいと思います。
しかしそこまで進学校にこだわらず、
ちょっとでも「良い学校」に行ければいいな、とお考えでしたら、
難関進学校ではなく慶應を目指すことをお勧めいたします。
大前提…入学時の偏差値は関係ない!
恐らく学校選びの基準の一つに、どうしても偏差値を考慮しないわけにはいきません。
そのため、偏差値が低いのにまぐれで偏差値の高い中学に入ったらやって行けるのかしら?と悩む方もいるようです。
しかし、断言します。
入学時の偏差値が低くても、全く問題ありません!!
もしこれが大学受験で東大をはじめとする、いわゆる「いい大学」を目指す進学校ならば関係あるかと思います。
しかし慶應に限って言えば、全く関係ないと断言できます。
何故なら、受験のための勉強というのは一切ないからです。
慶應ではもっと人間性を豊かにする学問にも重きを置いており、
美術や音楽も力を入れています。
毎年行われる慶應中等部の音楽祭では、3年生になったらオリジナルの楽曲を作って発表しますし、
美術であれば、3年生からなんと油絵が必修です。
主要5教科ももちろん重要で、きちんと勉強しますが、
進学校ほどそれだけに拘っているわけではないのです。
だからこそ、言い方は悪いですが、入ってしまえば受験偏差値が足りてなかったとしても全く問題ないのです。
受験偏差値と実際の入試問題の乖離
慶應中等部の受験偏差値は非常に高いです。
首都模試の80%偏差値では74もあります。
では小6で受けるテストや模試で偏差値が70台でないといけないかというと…そうではありません。
実は私が慶應を勧める理由の一つが、問題の難易度なんです。
ちなみに開成と中等部の偏差値は
- 開成:78
- 慶應中等部:74(男子)・76(女子)
となっています。
それを踏まえて、2019年の開成と慶應中等部の算数(大問1)を比較してみましょう。
こちらが、開成の算数の問題の大問1です。
旅人算の問題ですね。
問題は理解できるかと思いますが…これ、解けます?
地道に計算して行ったら何とかなるかもしれませんが、そんなことをしていたら大問1だけで試験時間が終わってしまいそうです。
ちなみに、大問1の(1)の考え方は、次の通りです。
予定ではK君が始めにスイカを2つ運ぶと考えていた場合、毎分60mで進む。
実際はスイカを1つ持っておばさんの家に行ったので、毎分80mの速さ。その後、弟を迎えに行って、S君からスイカを受け取って、再びおばさんの家へ到着した。
時間は16分の15と出ているので、仮に予定でおばさんの家に到着した時間を16分と仮定すると、実際は15分で運び終えた、という計算になりますよね。では、その条件のもと、K君が最初におばさんの家に到着した時間を考えてみましょう。
歩くスピードは60m/分と80m/分なので、スピード比は3:4です。ということは、最初に到着したのは、16分(予定で到着した時間の仮定の数値)×3/4で到着できたことになります。
すなわち、12分で到着した、と考えられますよね。
2回目におばさんの家に到着したのは15分という仮定なので、問題文にある「K君が一度目におばさんの家についてから、二度目におばさんの家に着くまでの時間」は、15-12で3分と考えられます。
さらに問題文にある「K君がはじめに一人でスイカを2つ運ぶのにかかると考えていた時間」というのは16分と仮定してますから、(1)の答えは、3/16となるわけです。
いかがですか?
なかなか頭を使う問題だったと思いませんか??
しかもこれ、開成の受験生レベルから言えば、ほぼ全員が正解できるレベル。
このくらいの問題はさらっとこなし、この後のもっと難しい問題を正解できるかどうかが合否の分かれ目となるのです。
では、慶應中等部の大問1を見てみましょう。
あれあれ?
かなり簡単だと思いませんか?
同じように大問1の(1)を見てみると、少数を分数に直し、通分して計算すればいいだけ。
ほぼ作業ですね(笑)
もちろんこれだけで慶應に合格できるわけではないのですが、それでも進学校と慶應中等部の問題の難易度についてお分かりいただけたかと思います。
これで偏差値が74というのはどういうことかというと、御三家組が模試で慶應中等部を受験校にいれているからなんですよね。
日程の問題で、併願校としてピッタリなんです。
しかしこうした子は御三家に合格したらそこに進みます。
だから、実際の偏差値ほど慶應中等部は難しくはないのです。(簡単でもないですが)
慶應に向けて勉強するということは、例えばこうした計算スピードを徹底的に早く正確にすること。
だから意外と御三家組が学科試験で落ちるというのは、短い時間で解ききれないから、と考えられます。
(問題量だけは非常に多いので、とにかくスピードアップが重要)
だから言っているんです。
偏差値50からでも、慶應は合格する、と。
もしあなたのお子さんが、私の息子と同様偏差値50程度であっても、
難関進学校は難しいかもしれませんが、慶應なら可能性があります!
一度、慶應の問題をじっくり見て検討してみてはいかがでしょうか?