―夏を制する者は受験を制する
この言葉、だれが考えたんでしょうね。
戦国時代の武将の言葉っぽいと思いませんか?
でも、実際中学受験において、夏休み、それも小6の夏休みは非常に重要です。
ここで頑張れない子は、中学受験で失敗する確率が大きく上がってしまうのです。
とはいえ、勉強だけをやり続けるなんて、小6の子には不可能です。
ちょっと休憩している子供に「何で勉強やってないの!」なんて声をかけてしまったら、テンションだだ下がること間違いなしです。
この夏、受験生の親がやってあげることは、大きくはただ2点。
①子供の勉強スケジュールを管理してあげる
②勉強と遊びの配分をうまく誘導してあげる
遊んでばかりは当然ダメですが、勉強し続けることも実はマイナスだと私は考えてます。
子供と一緒に中学受験に参加している「感」をうまく出し、小学校最後の夏休みをうまく乗り切っていただければと思います。
では、私が考える「慶應合格の為にやるべき5つのこと」をお伝えしていこうと思います。
①弱点を洗い出し、集中的に勉強する
まず最初に大切なのは、子供の弱点が何なのかを把握することです。
SAPIXに通っているようなお子さんなら、小学校で学ぶ範囲は小5までに全て終えていますし、そうでないお子さんでも、通常の塾に通っていたら、小6の1学期までに全過程終了するはずです。
小6の4月からここまで受けてきた模試数回を検証していけば、子供の苦手な分野、得意な分野がはっきりしてくると思います。
それを親子で共有し、まとまった時間で徹底的に特訓する。それが出来る最後のチャンスが、この夏休みなのです。
そんなの分かってるよ!という声が聞こえてきそうですが…(笑)
でも、やっぱり意外とそれが出来てない子が多いんですよね。
これは「お子さんが出来ない」のではなく、「親が出来ていない」と考えて下さい。
ちょっと脱線しますが、親の役割についてお話させてください。
実は私も子供が小6になるまで、完全に塾任せ、子供任せでした。
いや、もう少し正確に言えば、「中学受験は子供がするもので、親がするものではない」という認識だったのです。
でもよく考えてみて下さい。
わずか11歳、12歳の子供が、自主的に自分の苦手分野を分析し、自発的に中学受験に取り組むものでしょうか?
少数のお子さんを除いて、ほとんど無理ですよね。
親である自分がそうだったように(笑)。
この夏休み、最も大事なのは、親の意識改革なのです。
では親が子供につきっきりで勉強を教えなければいけないのか、というとそういうことではありません。
「親は子供のメンタルコーチにならなくてはいけない」
これが、私の結論です。
テクニカルコーチ(=勉強を教える)は、これまで通り塾の先生でいいでしょう。
でも、中学受験という試合に勝利する為には、メンタルが最も大事です。
子供のメンタル操作、これこそが親がやるべきことなのです。
子供が気持ちよく勉強に取り組めるように、気持ちを「乗せ」てやりましょう。
子供が普段より1分でも多く勉強したら、徹底的に褒めてあげてください。
「やるなー!さすがだなー!」と。
子供が勉強せずに遊んでしまったら、「今日はしょうがないな。よし明日頑張ろう。だから今日は勉強一切せずに、遊びまくれ!」などと言って、その行為を肯定してあげましょう。
12歳の子供なんですから、「無理やりやらされ」ても、身に付きません。だったら遊んでいた方が心は軽くなります。
そして「今日は遊んで、明日は勉強」という気持ちを植え付けられたら、意外と翌日は素直に塾に行ってくれたりするんです。
もちろん決まったやり方というものはないです。
家庭ごとにやり方は違うと思いますので、それぞれのやり方で、子供のメンタルを前向きにしてあげてください。
ただ、怒られ続けるだけでは、絶対に学力は伸びないということは、覚えておいてくださいね。
話を戻します。
夏休みは、子供の弱点を補強することが出来る最後のチャンスです。
まずはここまでの模試の成績表を出してきてください。
それを見ながら…
●子供と一緒に弱点分析を行い、この夏に取り組む分野を決める
●それを塾の先生に伝え、自習室などでの課題に生かしてもらう(先生の分析と同じなら心配はありません)
●重点を置くのは、数学≧国語>>理科>>>>社会
特に慶應中等部の受験問題は、数学のスピード勝負です。
苦手な分野を作らず(克服し)、より正確により早く解くことが肝心です。
中等部の過去問を解いたことがある子がいたらわかると思いますが、この時期でも70点くらい取れると思います。
基本問題ばかりで、とても簡単なんです。でも70点だとダメなんです。
数学は満点で普通。せめて90点台は欲しいですね。
でも、息子も夏休みに特訓しましたが、結局80点台が最高でした。
ただ、夏に徹底的にやったことで、小6の冬休みに一気に伸びることが出来ました。
成果はすぐに出ないかもしれません。でも、夏休みに特訓しておかないと、冬のミラクルは起きません。
親は「特訓するけど、結局夏は成績が伸びない」と思って、がっかりする子供のメンタルを守ることに注力してやってください。
秋になって「模試の成績がガタガタじゃない!夏ちゃんと勉強してたの!?」と、子供を責める親御さんをたまに見かけますが、NG行動ですよ。
成果は、冬に!
途中経過は無視して、子供を信じてあげましょう(笑)。
②夏休みの全体スケジュールを立てる
苦手分野がわかったら、夏休み40日間のスケジュールをたてましょう。
塾のスケジュールは既に出ているので、それを軸に、何を勉強するのかを決め、はめ込んでいくのです。
ここでポイントは、「親が勝手にスケジュールを作らない」ということです。
何故か?
子供は強制されるのがキライだからです!
これは我が家の方式だったのですが、エクセルでスケジュールを作成していきます。
この時、子供も一緒に座らせて、話をしながらスケジュールを埋めていきました。
「塾のスケジュールはこうだよな。じゃ、この日、朝から昼まではどうする?塾の自習室でやる?家でやる?」
「うーん、自習室に行く」
「じゃ、何をやる?弱点の図形でもいいし、最初は得意なやつからやっていってリズム作るか…」
「あ、先生がやっといてって言ってたプリントやらないと…」
「え?今どのくらい宿題でてるんだ?全部持ってきて」
「わかった」
※宿題プリントを、いつまでにやらなきゃいけないのか整理して
「じゃ、先に国語の漢字プリントかな。2時間で終えられそう?」
「…無理」
「じゃ、自習室に行く時間、1時間早めるか?」
「うん」
こんな感じで、親が誘導しながらも「子供が決めたスケジュール」感が出るようにしていました。
もちろんこのスケジュールは塾とも共有し、先生の意見ももらって修正していましたが。
こうしておくと、意外と子供はそのスケジュールを(比較的)守るようになるんです。
でも、当然ですがそのスケジュールはこなせません。
気分が乗らないこともあるし、本当に体調不良の時もあるので。
だから、目標の60%くらいを夏休み中にこなせたらOKと思っていてください。
ちなみに息子はこの手法で、夏休み中お盆と日曜日を除いて、毎日朝9時~夜10時まで塾に行きっぱなしでした。
自分で立てたスケジュールだったから、なのでしょうかね。
余談ですが、中2になった息子に聞いたところ、「自習室の先生が面白い人で、色んな音楽を持ってきてボクのipodに入れてくれた」とのことで、まあ先生にも恵まれたんだな、と思います。
③過去問をやりはじめる
さて、夏休みに入ったら、ある程度志望校は絞り込めた時期でしょう。
息子の場合、慶應3校(SFC>中等部>普通部)だったので、全く実力は足りていませんでしたが、玉砕するつもりで許可していました。
塾の先生も我が家の方針を知っていたので、この3校の過去問をやり始めていました。
ただ、本当に実力のある子は、受験の時間通りにやって、「昨年受けていたら合格点に達していたかどうか」などを見るのだと思いますが、我が家では通しでやるのではなく、小問ごとにやって、答え合わせをしていました。
これは塾から言われたことなのですが、
「今やっても絶対満足な点数は取れない。だから、問題傾向に慣れる事と、実際に出た問題を解けるようになることが肝心。過去問をドリルのように何度も何度も解かせます」
なんだそうです。
確かに同じ問題をやり続ければ、そのうち解法を覚えてしまい、解けるようになりますよね。後はそれを応用出来るようにする、ということのようです。
子供にとってこれは良かったようで、塾から帰ってきたら自慢げに「今日はね、中等部の問題解けたよ!」と鼻息荒く言ってました。
もちろん、それが5~6回目の挑戦であることは知っていたのですが、「おおーー!すごいじゃーん!やったね!!」と言って、メンタルケアを忘れずにしていました。笑
また、これは塾の先生にお任せしていたのですが、息子に「最悪ダメだった時、慶應以外で行きたい学校」を数校選ばせて、その過去問も解かせていました。
その中で、相性のいい学校を選び、併願校になるように導いてもくれたので、感謝です。(結局、併願校もほぼ全て合格をもらえたので、このやり方は正しかったのだと思います)
④願書に書けるネタを仕込む
さて、ここからは慶應に特化した対策になります。
あなたのお子さんが、慶應以外を志望されているなら、ここから先は読み飛ばしていいただいて大丈夫です。
慶應には、体育実技と2次面接があります。
そして出願には、まるで大学受験のように「願書」を提出する必要があります。
その中で悩むことの一つが、「自己紹介」欄でしょう。
志望理由などは色々書けると思いますが、自己紹介ってなかなか難しいと思いませんか?
一体、何を書いたらいいの?って思いますよね。
例えば会社の異動とかで新部署になった時、自分の事を端的にしゃべらなくてはならないですが、なかなかうまく表現できない、というのと同じです。
だから、夏休みの今から対策を練っておいた方がいいと思います。
と言っても難しく考える必要はありません。
お子さんとご飯でも食べながら、話し合っていけばいいんです。
「小学校時代の一番の思い出って何かな?」とか
「小5の時、習字で賞とってたよね?」とか
「一番打ち込んだことって、サッカー?皆勤賞?」とか。
そんな話をしていくと、そのうちポイントがまとまってきます。
また、どうしても「語るべきものがない」というのであれば、この夏休みの間にやってしまえばいいんです。願書に書けるようなことを。
例えば、子供との話し合いで、「将来ユニセフで働きたい」という願望があったとしましょう。
それなら、この夏休みの間にその夢に向けて「ユニセフの活動を知るために、チャリティーコンサートに行き、スタッフの話を聞く」という経験を積んだりするのも◎です。
付け焼刃じゃないかと思われるかもしれませんが、願書に書いたことは面接で聞かれることもあるので、
実際に体験させておくというのは大事なんです。
出来れば夏休み前に親子で話をしておき、夏休みのスケジュールに組み込んじゃうのも手ですよね。
⑤家族で慶應についてトークする
我が家の面接では聞かれませんでしたが、塾の先生によると「学問のすすめを読んでどう思ったか?」という質問を受けた子もいたそうです。
慶應では先生というのは福沢諭吉だけで、後はみな志を同じくする学友とのこと。
だからこそ、「あなたは本当に慶應に入りたいと思っているんですか?」という意味も込めて聞かれるのでしょう。
ただ、だからと言って「学問のススメ」だけを頭に入れておくというのでは、準備不足だと思いませんか?
面接では何を聞かれるかわかりませんよね。
だからこそ、普段から慶應について、親子でトークしておく必要があるんです。
「何で慶應に行きたいと思ったの?」
「慶應ってどういう学校ってイメージがある?」
「福沢諭吉ってお前どう思う?」
「昔は聖徳太子だったんだけど、今は福沢諭吉が描かれてるのは?」(→1万円札)
こんな感じで。
あくまで楽しく、気楽に。
もしあなたが慶應出身だったら、その想い出話なども有効です。
こうして、子供の中に慶應についての知識やイメージが育っていけば、面接で何か聞かれても頭が真っ白になることはないですよ。
まとめ
繰り返しになりますが、夏を制する者は、中学受験を制します。
改めて、この夏やっておくべきことは
・苦手科目・分野を割り出し、徹底的に勉強する。ただし夏休み中に克服できなくてもイライラしなくていい
・夏休み中のスケジュールを、子供と一緒に立てる
・過去問をやり始める。レベルが達していなかったら、小問ごとにやっていっても問題ない
・願書に書けるネタを仕込む
・親子で慶應について会話をし、知識を蓄える
冬になってきたら、勉強以外のことに時間を割けなくなります。
その時になって、「あ!願書の記述、どうしよう!」と思っていては手遅れです。
是非今のうちに対策をし、万全で臨むようにしてくださいね!
来春、皆さんが笑顔で三田キャンパスを歩けますように。