中学受験はある意味「投資」と似ています。
子供にいくら投資すれば、その子が将来取り返せるか…
それを見るのに「教育収益率」という言葉があります。
本来は社会が教育に対してどれだけ投資すれば、その社会の構成員がそれだけ社会に貢献できる人間に成長できるかを示すものです。
今回それを個人に置き換えて考えてみたいと思います。
学歴と生涯賃金から考える
いまや学歴社会は崩壊したと言われています。
そしてそれは正しいと思います。
しかし、それでもなお、きちんとした教育を受けた人間の方が困難に当たった時の問題解決能力は高いです。
その意味では、やはり人間の能力を測るうえで「学歴」は間違いではないでしょう。
さて、では大卒の平均生涯賃金は、3億1810万円です。
それに対し高卒の平均生涯賃金は、2億3220万円というデータがあります。
その差8590円。
単純な計算ですが、これが大学教育の効果と言えます。
この大学教育の効果である8590円を得るのに、それなりの費用が掛かっていますよね?
まずは年間の大学の授業料が約120万円。これが4年分。
さらに大学進学者は高卒の人が得られたであろう4年分の給料がありません。
高卒者の給料が年間300万程度と考えられるので、4年分で1200万円となります。
つまり、4年分の大学の授業料と、高卒者が得られる4年分の給料を合算した1680万円の費用で8590万円を得た計算になります。
しかしこれは大学受験に学校の授業料以外お金がかからなかった場合の話です。
実際には塾や予備校などに通うことで、授業料以外の費用も加算されていきます。
特に浪人してしまうと、予備校の費用に加え、高卒者が得られる給料を5年分放棄することになるので、教育収益率は落ちてしまいます。
そこで注目を集めるのが、今や主流になりつつある「中高一貫校」です。
私立はもちろん、首都圏の公立もどんどん中高一貫教育に舵を切り出しています。
そしてこの中高一貫校からは、高確率で難関大学に現役合格を出しているのです。
これが附属校であれば、よりその効果は高いと言えるでしょう。
では、我が子を中高一貫校に行かせた場合、いったいどのくらいのお金がかかるのか?
文部科学省『子供の学習費調査』をベースに見ていきましょう。
こちらの表をご覧ください。
高卒の場合、公立高校を出ているケースが多いので、私立と公立で比較してみましょう。
この調査によると、公立中学の学校教育費は3年間で47万8554円。
私立中のそれは132万6933円であり、その差は84万8379円です。
高校で計算してみると、差分は58万9306円となります。
私立の中高一貫校に行かせるための投資は、合計で143万7685円であると言えるでしょう。
ということは、大学にストレートイン出来る附属校に中学受験で入れれば、1825万程度の出費で、8590万円のリターンを得ることになります。
これが、私立の中高一貫校(大学附属校)の教育収益であると考えられるのです。
まとめ
もちろんこの試算はかなりざっくり出しており、実際にはもっと費用はかかると思われます。
それでも私立の中高一貫校(特に附属校)に行かせるメリットは、教育収益という観点から見ればお分かりいただけるかと思います。
実際はこうしたお金だけで学校を選んでいるわけではありませんが、一つの指標になるかとは思います。
さて、息子はこうした経済の観点で慶應に行ったわけではありませんが、希望していた学校に進むことが出来、毎日楽しそうにしています。
将来どんな道に進むのかわかりませんが、学友たちと色々話をしているようで、親としては楽しみでもあります。
後付けではありますが、教育収益率という観点から見ても、私立中に進ませたことは良かったと思う今日この頃です。