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開成ショック…新しい入試へ向けて

 

中学入試の最高峰・開成の入試問題で異変が起きている、という記事が上がっていました。

御三家に向けて取り組んでいらっしゃるご家庭は既にご存じだと思いますが、「思考力」「判断力」を問う問題が出題されたのです。

 

これは、2021年の大学入試改革の先取り問題として、注目を集めました。

 

大学入試が変われば、高校・中学の授業内容も変わり、そして中学入試も変わります。

その先取りとして、今回の私立最難関の開成中学「国語」の問題が一部変わりました。

そのインパクトは凄く、特に塾関係者からは「開成ショック」という言葉も出ているのです。

 

その問題は、今年の開成中学「国語」の大問二でした。

以下、問題文を紹介したいと思います。

 

2018年開成中学入試問題「国語」大問2より抜粋

2018年開成中学 「国語」入試問題より抜粋
次の文章を読んで、後の問いに答えなさい

北海商事株式会社は、北海道の名産物を、各地に紹介し、販売する会社です。

大手百貨店の安田デパートから、「月末の休日に、新宿支店と池袋支店で北海道物産展を行うので、カニ弁当を仕入れてほしい」と依頼されました。

北海商事では、新宿支店の仕入れ販売を大西社員が担当し、新宿支店よりやや規模の小さい池袋支店の仕入れ販売は小西社員が担当することになりました。

両支店での販売を終え、翌月の月例報告会では、販売部長が下記のグラフを示しながら両支店での成果を社長に報告しました。

「大西社員は、販売用に500個のカニ弁当を発注し、小池社員は、450個のカニ弁当を発注しました。最終的に、新宿支店では、見事にカニ弁当は完売となりました。池袋支店では20個の売れ残りが生じてしまいました。グラフは九時の開店から一九時閉店までの、カニ弁当の売れ行き総数を示したものです。二人の社員の評価について、社長はいかがお考えになりますか」

この報告と聞いて、社長は、「部長の報告は客観性に欠ける。君は既に大西社員を高く評価しようとしているではないか」と伝えたうえで、「私は小池社員の方を高く評価する」と答えました。

部長が、「新宿支店よりやや小さめの池袋支店でも、小池社員が高い成果を上げたということがポイントでしょうか」と尋ねたところ、 社長は「支店規模の問題ではない」と告げ、自分の考えを示しました。

 

問一

社長は、部長の報告のどの表現に、客観性に欠けたものを感じたのでしょうか。二つ探し出し、なるべく短い字数で書き抜きなさい

 

問二

大西社員より小池社員の方を高く評価する社長の考えとは、どのようなものと考えられるでしょうか?「たしかに」「しかし」「一方」「したがって」の4つの言葉を、この順に、文の先頭に使って、四文で説明しなさい

 

さっそく解いてみました

過去の記事「【やる気スイッチ】子供を自発的に勉強させる方法(自己流)」でも紹介したように、ウチでは父親も息子と同様、一緒にやってみることをモットーとしております。

 

何を隠そう、私は関西の田舎出身ではありますが、小学校・中学校・高校・大学とすべて受験をしておりますので、負けられません!(気合だけは)

 

しかし、この問題…一般社会でもありそうで、今まで勉強してきたものと確かにかけ離れてますね…。

ロジカルな考え方を持っていないと正解にたどり着かないようですが…

 

問一について

社長は部長の報告が「客観性に欠ける」と判断しました。ということは、部長の報告した部分に正解はあるはずです。

一見もっともな報告のようにも見えますが…社長の目から見ると違うというのであれば、大西社員を肯定するような表現が、客観性に欠けると判断した根拠ではないかと。

 

部長の報告の中で、大西社員を肯定する表現で、短い個所を探してみると…

・見事にカニ弁当は完売

・売れ残りが生じてしまいました

という部分になると思います。

 

この「見事に」という箇所は、部長の意思が入ってますし、大西社員を高い評価にしようとしている姿が見て取れます。

ここが客観的ではないと思いました。

<しろくまの答え>

見事にカニ弁当は完売

 

問二について

さて、「見事にカニ弁当が完売」することは良いことだと思うのですが、この点が「客観性に欠ける」という判断だとすると、完売=マイナスポイントと考える必要が出てきます。完売すると、なぜダメなのか、考えてみました。

 

「完売=売るものがなくなる=時間を無駄にしている」という考え方は出来ないものでしょうか?

 

そう考えると、最初のカニ弁当500個仕入れるという箇所が、販売の予測を仕切れていない、と考えることが出来ます。

 

小池社員は、20個余らせましたが、430個を売りました。ほとんど余らせず、最後まで販売を続けられた点が評価が高いと思います。

ということで、4つのワードを使うことを考えると、文章の構成は小池社員を軸に、次のように考えられます。

 

たしかに → 小池社員のダメに見える点を書く → 小池社員はカニ弁当を余らせた
しかし → 小池社員の実は良かった点を書く→ 小池社員は閉店まで弁当を売り続けた
一方 → しかしの論点で見た大西社員の欠点 →1時間前に弁当を完売させてしまった
したがって → 小池社員を評価する → 時間を無駄にした大西社員より、販売し続けた小池社員の方が良い

 

というロジックで書けば、一応文章として正解しているのではないかと思います。

 

<しろくまの答え>

たしかに、小池社員は仕入れた450個のカニ弁当を完売することが出来なかった。
しかし、これは閉店までカニ弁当を売り続け、時間を無駄にしなかったことを意味する。
一方、大西社員は閉店1時間前に完売させてしまい、1時間を無駄にしてしまった。
したがって、販売し続けられるちょうどいい個数のカニ弁当を仕入れた小池社員の方を評価する。

 

四谷大塚の答え

問一 四谷大塚の過去問データベースで見てみると、答えは…

 

見事に、しまい

 

でした。くーーー悔しい~~!そうか、「なるべく短く」だから、余計な要素を入れちゃダメなんですね。。。

当該箇所にはたどり着いていましたが、問題文をきちんと読み込めていませんでした…。

 

問二 こちらも四谷大塚の答えを見てみると…

 

[たしかに] 売れた個数は大西社員の方が多く、その全てを売り切っている
[しかし] 新宿支店は18時で品切れとなり、閉店までの1時間、お客さんは弁当を買えなかった。
[一方] 池袋支店では弁当を買おうとした全てのお客さんに買ってもらうことができた
[したがって] お客さんに満足してもらうことが出来た小池社員の方が優れていると言える

 

でした。なるほどーー。私の答えは、販売側の目線から抜け出ていないですね。

 

18時に完売=もっと販売できた=売り上げが伸ばせた、というブラック企業の論理みたいな答えです…。お恥ずかしい…。

 

この問題に出てくる社長の視点はとても納得が行くもので、営業はまずお客さん目線にならないとダメだとよく言われます。

まさにそれを問題にしたもので、「開成ショック」と言われるのもわかります。

今まで多くの経営者を輩出してきた開成にとって、物事をこうした目線でとらえられる人材というのは必要なのかと思いました。

 

こうした問題は、慶應でも出るかもしれない

2021年の大学入試改革を控え、中学受験でも変革が起きることは必至だと思います。それがどのように出るか…

 

今は慶應中等部は記号で答えさせる問題ばかりで、正確さとスピードに焦点が当てられてきました。

これは処理速度の問題で、社会人になってから必要になるであろうデュアルタスク処理能力などのベースを見ているのではないかと思います。

しかし、社会がここまで変革してくると、求められる人材像も変わってくるため、もしかしたら中等部でも、「思考能力」や「判断力」を問う問題が出るようになるかもしれませんね…