慶應湘南藤沢は今年度から横浜初等部の受け入れを始めました。
そのため募集人数も減り、出願者数も前年の約700人から約250人へと大きく減りました。
実質倍率は公表されてないため正確にはわかりませんが、恐らくさほど変化はなかったのではないかと思います。
枠が減ったことから、受験者層も本命の人が多く受けるようになったという印象。
これからもさらに難易度は上がっていきそうです。
では、次年度以降に慶應湘南藤沢を狙う方々の為に、各教科の分析を記載したいと思います。
算数の配点は100点。試験時間は45分。1問当たりにかけられる時間は約2.5分です。
湘南藤沢の算数は、解法がわかっても計算が非常に面倒な問題が多く、高い処理能力が求められます。
そのため、大問1・2あたりにあまり時間をかけたくない、というのが本音。
大問3以降は、出題範囲が偏っており、「平面図形」「立体図形」「速さ(流水算)」「規則性」からの出題が顕著です。
大まかな攻略としては、大問1・2を出来るだけ早く解き(全問正解が必要)、大問3以降を得意なジャンルから手を付ける方が良いでしょう。
また解答形式は答えのみ。
途中式などでの部分点はもらえないため、ミスは絶対に避けたいところ。
大問3以降は、最初の答えが次の設問のヒントになっているので、最初を間違うと雪崩式に不正解になってしまいます。
そのため、スピードに加え正確性も求められることを理解しておきましょう。
恐らく見直しするだけの時間的余裕はないので、一発で仕留めるだけの学力が必要です。
何故か水に関係する問題が毎年出されます。
湘南という名前から、いたずら心で入れているのでしょうか(笑)
今年も「流水算」と「水槽に液体を入れる問題」が出題されました。
とはいえ水槽に液体を入れる問題は、題材が液体というだけで、実際は仕事算ですが。
それ以外に「規則性」「動く図形」という大問4題だったので、例年通りの出題範囲。
過去問演習を徹底的に行ってきた子であれば、取り組みやすかったのではないかと思います。
1位:平面図形
2位:割合と比
3位:数の性質・規則性
慶應3校の中では最も思考力を重視しています。
大問1・2の対策は中等部や普通部と同じようにスピードと正確性を高める対策でいいと思いますが、大問3以降はそれだけでは難しいです。
幸いなことに出題傾向はハッキリしているので、その分野に特化して高めていくというのも手です。
速さは、終盤の大型問題としての出題が多いです。
ほとんどの場合、グラフを利用しながら考える問題なので、グラフには十分に慣れておく必要があるでしょう。
基礎だけではなく、トップ校にも匹敵するだけの学力が必要ですので、難問対策も行って欲しいです。
また立体図形の問題は体積を求める面倒なものが多いです。
特に、回転体の体積に関する問題は、慣れていないと解きにくいと思われるので、十分に練習をしておきましょう。
国語の配点は100点。試験時間は45分。読む量が非常に多く、1問当たりにかけられる時間は約1分です。
大問4題で構成されます。
「小説」「論説文」「漢字を含む総合知識問題」そして「長文自由記述」という構成です。
慶應湘南藤沢の最大の特徴が、この「長文自由記述」
明確な答えは恐らくないので、自分の意見をいかに説得力を持って書けるかがポイントとなってきます。
この最後の自由記述は必答問題。
かならず何か記入するようにしましょう。
全体的に読む量が多く、12000字ほどあります。
年々増加傾向になるので、長文を読み切るだけの集中力をつけたいところです。
大問1は身近な物の名前と絵を答えさせる問題。
大問2は説明文、大問3は物語文で例年通りでしたが、今年は記述問題が出されませんでした。
一方大問4の「長文自由記述」は例年と異なり、2つのグラフを見せて仮説を立てさせ、その仮説の証明方法を説明させる問題。
従来の「発想力」よりも「論理的思考力」を要求する内容となりました。
1位:文化と学問
2位:父母
3位:自然と人間
大問1の総合知識問題では、身近な生活に関する常識や慣用表現を意表を突く形で尋ねられることが多い。
これは慶應らしく、ガリ勉くんを求めてないというところから来ているようです。
普段から親子で会話をしたり、学んだりする姿勢が必要になるでしょう。
また文章量が多いため、いかに早く読むかという事も大切。
1分で700文字程度のスピードは必要です。
ただ単に早く読むのではなく、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックしつつ、「心情表現」を拾いながら素早く読んでいくようにしましょう。
また最後の長文自由記述は必答問題。
これは似たような問題を繰り返して「出来る」経験を積み上げて行くしかないです。
湘南藤沢が第1志望であるなら、小5からでも出来るので、過去問を拾ったり公立一貫校の適性検査などをさせて慣れていくと良いでしょう。
社会の配点は50点。試験時間は25分。漢字指定もあり、1問当たりにかけられる時間は約30秒です。
「地理」「歴史」「公民」「時事」、全ての単元から出題されます。大問は6~7題。
広く穴のない知識を蓄える必要があるでしょう。
とはいえ、分量として多いのは「歴史」で、昨年は半分以上が歴史ジャンルからの出題でした。
問題は比較的平易であり、そのため高得点勝負が予想されます。
時間もあまりないので、頻出分野は絶対に落とせないと思ってください。
「地図」「地形図」「統計資料」「史料」等々の「高度な読み取り」も求められますし、時間と解答数を考えると、「スピード」と「思考力・処理能力の高さ」が必要になってくるでしょう。
大問7題、小問は37問。
国政問題にかわり、地形図問題が復活しました。
しかし難易度はさほど高くないので、さほど苦労はしなかったはずです。
問題数が減ったことから、今年も高得点勝負になったものと思います。
個々の問題を見ると、多くを占めるのが正誤問題。
「適当ではないものを選べ」とか「正しいものを選べ」など、問題文をよく読む必要もあります。
1位:近代・現代(明治~昭和)
2位:中世・近世(鎌倉~江戸)
3位:国際社会と世界平和
満遍なく全てのジャンルから出題されるため、穴を作らないことが肝心です。
塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年の夏休み前には終えます。
その後は「復習」となるが、そのメインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」になります。
となると、6年で学習した「公民」はまだしも、5年生で習った「地理」は、実質的に1年以上の空白が生じてしまいます。
地理もSFCでは全体の約30%を占める必出分野。
そのため、塾の勉強とは別に地理の補強をしておく必要があるでしょう。
とはいえ、SFCの社会はそれほど難しくはないので、基礎知識を定着させることが必要であると思います。
また、出題頻度の高い国政に関する問題への対策を怠らないことが必要になってきます。
理科の配点は50点。試験時間は25分。1問当たりにかけられる時間は約1分です。
理科の4分野(物理、化学、生物、地学)のすべてから出題されます。
小学生の理科単元の基礎知識が幅広く問われており、難しい問題で受験者に差をつけるのではなく、子供の一般教養を問う傾向にあると言えるでしょう。
試験時間が短い中、選択問題・用語記述・計算・短めの記述問題があり、素早い切り替えが必要です。
例年、図や絵から読み取らせる問題が出題されており、正確な知識をもとに特徴を読み取り、素早く選び取る能力も求められています。
12歳の子供の知識量に大きな差があるわけではありません。
そこで、慶応湘南藤沢では、志望者を選定するために、「知識の量」だけではなく、「知識の活用」を、試験していると考えられます。
資料問題の比重を高くして、「ただ覚えているだけの子ども」と「覚えたことが活用できる子ども」を、判断しようとしているのでしょう。
この資料の読み取りは合否を分ける問題になることが多いので、要注意です。
例年通り大問4題の構成でした。
大問1は生物分野(アサガオ)、大問2は地学分野(月)、大問3は物理分野(電流計)、大問4は化学分野(水溶液)
たいていの場合、このうちどれかに難問が紛れ込んでいて、子供の手を止めてしまいます。
特に物理でその傾向があり、ややこしい計算をいかに素早く出来るかがカギとなります。
小数点以下の計算になっても、計算の精度が落ちないよう、演習を積み上げて臨みましょう。
1位:気体の発生と性質
2位:地球・月・太陽・惑星
3位:人の体とつくり
慶応湘南藤沢の試験では、問われている内容は、いずれも標準的な難易度で、小学生の理科の範囲を逸脱しているわけではありません。
しかし、1つの知識が、さまざまな角度から問われている点を意識して欲しいです。
問われ方が変わっても対応できるだけの演習量をこなしましょう。
特に、テストごとに理科の得点が乱高下し、不安定になってしまっているお子さんは注意してください。
また先述したように「資料を読み取る問題」の対策は必須です。
全体として、丁寧に作業できる受験者が有利な試験構成になっているの、難問を解いて差をつけるのではなく、どれだけ失点しないかを意識しましょう。
まずは基礎固めが大事になってくると思います。
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